小学生の頃、好きな先生がいた。
理科を専門で教える先生で、小4か小5の頃だったと思う。
ある日の授業のはじめに、先生が言った。
「お前ら、5欲しいか?」
みんな少しざわついた。
「はい。」
先生は、色々な人に聞いて回る。
答えは、みんな同じだった。
「はい。」
先生は紙を取り出し、
乱雑にA4ぐらいの紙に「5」と書いた。
そして、一人一人に配った。
紙には
ただ「5」と書いてあった。
みんなポカンとしていた。
何が起きているのか、よくわからなかった。
その先生は北海道出身で、スキーが得意だった。
宿泊学習のスキーではコーチを頼まず、自分で指導していた。
後ろ向きで滑ったり、
8ミリのビデオカメラを持ちながら普通に滑っていたのを覚えている。
少し変わった先生だった。
でも、好きな先生の一人だった。
今思うと、
あの紙の「5」は、成績の5と同じだったのかもしれない。
社会に出たら、
紙に書いた5と同じで、
それ自体にはあまり意味がない。
そんなことを言いたかったのかもしれない。
自由な先生だった。

