どうしてオレ?

日常編

初めて告白されたのは、中学3年生のときだった。

その人はそれほど目立たない子で、

話をしたことはあったけど、強い印象はなかった。

夜、風呂に入っていると、母が脱衣所に子機を置いた。

「どうしても代わってほしいって。」

面倒だなと思いながら、保留音を解除した。

もしもし。(オレ)

もしもし。(相手)

聞き慣れない女子の声で、頭が一瞬でパニックになった。

誰だろう?

何人か顔が浮かぶが、声と一致しない。

「あの、〇〇です。いきなり電話してごめんなさい。」 

ようやく顔と声が一致した。

分かるはずもない。それほど会話をしたことがないのだから。

「実は…」 (相手)

オレのこと好きとか言うわけないよな。
2と3の男だ。何を自惚れている。

「〇〇のこと好き!…あっ、言っちゃった!」

何で?

何でこうなるんだ?

こういう時ってどうしたらいいんだ?

返事は何が普通なんだ?
いや、普通は関係ない。

自分はどうなのかを伝えなければ。

初めてのことが突然すぎる。

しかも家電。

風呂場で声が響いている。

何秒だったのかも分からない。

「あ、あの…」 (オレ)

2、3秒黙る。

パニックすぎて、今でもあの間の長さを思い出せない。

「返事は?」(相手)

そうだ。返事をしないといけない。

「別に好きな人がいるんだ。」

「え…そうなんだ。」

そのあと2、3言葉を交わして電話を切ったが、ほとんど覚えていない。

動揺が収まらなかった。

オレはまだ、振られた時の辛さを知らない子どもだった。

その数年後、初めて自分から告白して振られた。

玉砕覚悟だったのに、それでも辛かった。

あの時、ようやく少し分かった。

あの電話の向こうで、彼女はどんな気持ちだったのか。

もし戻れるなら、

「オレみたいな人を好きになってくれてありがとう。」

そう言ったうえで、

「でも好きな人がいるからごめんなさい。」

と言えただろうか。

あのときの電話は、きっとぶっきらぼうだった。

動揺していないふりをして、無理に強がっていた。

本当に子どもだったなと思う。