小学生の頃、唯一得意だったものが水泳だった。
今では、生まれ持って個々の能力がある程度決まっていることは、
科学的にも言われているが、当時はそんな考え方はなかった。
通知表は常に2と3。
走るのも遅い。
なぜか水泳だけは、学年で1、2番ぐらいに速かった。
皆と同じように先生に習い、同じように泳いでいたと思うが、
結果だけが少し違った。
プールへ飛び込む瞬間は、
通知表のことなんて考えていなかった。
水の中にいる間だけは、誰とも比べられていない感覚があった。
速いか遅いかはあとで決まる。泳いでいる時は、
ただ泳いでいるだけだった。
出来る人は出来ない人の気持ちがなかなかわからない。
あの頃、頭で理解していたわけではないが、
体感として何かをわかっていたのかもしれない。
人には向き不向きがあるということ。
小学生の頃に、この感覚があったから、
姉や兄に対して卑屈にならなかったのかもしれない。
それでも、体育の成績は3だった。

