正直さを評価された原点

学生編


中2の頃、よく近くの小学校へ自転車で行き、
友達5、6人でサッカーをしていた。

いつものように帰ろうとしたとき、
ゴール裏の体育館のワイヤー入りガラスにヒビが入っているのを見つけた。

ボールの跡もある。

割れる音は聞いていない。

小5や小6にそんな強いシュートが蹴れるとは思えなかった。

これは、オレか同級生のどちらかだ。

今日は日曜日。

「明日の朝一で、年上のオレたち2人で学校へ行って担任に報告しよう。」

そう決めた。

月曜の朝。

誰もいない教室に入ると、ため息が出た。

あの怖い先生に報告するのだから。

職員室へ行くと、まだ先生はいない。

廊下から車が来るのを待った。

なかなか来ない。

そのとき初めて知った。

先生って、結構ギリギリに来るんだなと。

ドキドキしながら待ち、ようやく車が入ってきた。

2人で職員室に入る。

先生は驚いた顔で言った。

「お前ら、どうした?」

「小学校でサッカーをしていて、ガラスを割ってしまいました。

ワイヤー入りなのでどちらかは分かりませんが、僕ら2人のどちらかです。」

ビンタは覚悟していた。

先生は何も言わず、詳細をメモした。

「2人とも、オレが来るのを待っていたのか?」

「はい。」

「何時からだ?」

「30分ぐらい前からです。」

「そうか。わかった。教室へ戻れ。」

……あれ?

全然怒られない。

朝の会が終わったあと、先生が口を開いた。

「昨日、小学校でサッカーをしてガラスを割ったバカ者が2人いる。」

教室がざわつく。

「〇〇と〇〇だー」

茶化す声も飛ぶ。

先生が言った。

「静かに。やったことは悪い。でも、やった後の行動は良かった。

2人とも朝からオレを待っていたんだろう?」

「はい。」

「そういうことだ。終わり。」

悪いことをしたのに、皆の前で評価される。不思議な体験だった。

正直さと、やってしまった後の行動をちゃんと見てくれている。

勉強以上に、人として何が大切かを教えてもらった気がする。

大げさかもしれないが、この体験は今の自分に少なからず影響していると思う。