迷う100円玉

学生編

姉と兄と、100円玉を握って近所の駄菓子屋に行く。

何を買ったかは覚えていない。

覚えているのは、何を買っていいかわからなくて迷っていたことだけ。

姉に言われる。

「早くしな。」

兄も待っている。

お店のおじちゃんまで、少し困った顔をしている。

それでも迷う。

本当は、欲しいものなんてなかったのかもしれない。

でも、姉と兄が買っているのに、

自分だけ買わないという選択はできなかった。

あのとき握っていた100円玉は、

たぶんお金じゃない。

「同じでいたい」という気持ちだったのかもしれない。